Fly me to the Moon

ってタイトル付けて記事書いてしまった(ついに)

ぬいのおうち 家具 どこで売ってる🔍

ぬいのおうちの現在です。


ぬいのおうち

ぬいのおうちはIKEAで購入(¥3,990)。
サイズはよく測ってください!
わたしは事前にきちんと計測して立体的なサイズ感をイメージした上で注文しましたが、届いて組み立ててみると想像以上に大きくて重くて圧倒されました。現在に至るまで現状復帰可能な形で内装を整えていますので、穴を開けたり改造したりということはしていません。


Amazonでも買える家具

商品紹介としてリンクを貼りますが、実際にわたしが購入した出品者ではありませんのでご注意ください。

数点Amazonでミニチュア家具を買ったのですが、今見たら状況がだいぶ変わっていました。(わたしが購入した出品者からはもう出品されていないみたいです)。
うっかり海外発送だったりするとかなり待ちます。Amazon海外発送でも購入したことがありますが、待てばいいだけで送られて来なかったとか破損していたということはありませんでした。ただ見極めが非常に難しいと思います。

楽天でも買える家具

これは本当に意外だったのですが、ユザワヤのオンラインショップにミニチュア家具やミニチュアパーツの取り扱いがあります。



シュゲールというこれも手芸用品オンラインショップでもミニチュア家具・ミニチュアパーツの取り扱いがありました。手芸とミニチュアって親和性があるんですね。





そのほかの買える場所

あとはフリマアプリで個人輸入をやっている方から買ったり、creemaやminneで個人作家さんの商品を買ったりしています。

ぬいにピッタリのこの椅子はナチュラルキッチンにありました。ナチュラルキッチンは安価なミニチュアグッズがあったので、近くにお店があれば覗いてみるといいかもしれません。

ドアと窓

おうちに家具だけどんどん入れていってもなかなかお部屋っぽくならなかったのです。なので、ドアと窓をつけてみました。これはすごく良くて、奥行きが出て開放感もあり一気にお部屋っぽくなったと思います。おすすめです。

※こちらもわたしが購入した出品者ではないのでご注意ください。
簡単に説明すると、これらをぬいのおうちの壁に取り付けようというものです。ただし、前述の通り現状復帰可能な状態を目指していますので、壁に穴を空けたり接着剤を使ったりはしません。こちらの神アイテムをご紹介します。わたしは横幅1センチのものを使っています。天井から吊り下げているシャンデリアも鬼ピタで固定しています。おうちの壁と接する面はすべて鬼ピタで固定します。


2階の窓はこんな感じなのですが、実は窓枠は押し込んで嵌めているだけですぐ取れます。窓枠を取るとこの状態です。

実は窓枠と別売りの壁掛け棚を一体化させたものです。壁に貼り付け用の白の厚紙を土台にして、そこに壁掛け棚を接着し窓枠を嵌める用にダンボール紙を重ねて厚みを出したものを接着しています。

窓枠は後ろからみるとこんな感じ。

表側はこんな感じで、雑誌から風景写真を切り取ってガラス窓と一緒にしてしまいます。これをギュッと押し込めば完成です。
1階の窓にはカーテンレールとカーテンを付けています。カーテンレールの作り方はこちらを参考にさせていただきました。(2階建ての白い家〜カーテンをつける〜 | tiny sweet things 〜ミニチュア&ドールハウス〜
カニカンは使用せず、白の厚紙で工作しました。


ドアの方も窓と似たような方法で固定しています。

こちらは背景用の写真を厚紙に貼り付けて、その厚紙を鬼ピタで貼り付けています。ミニチュアのドアとドアノブは基本的に別売りなので、ドアノブを買うのを忘れないようにしてください!

衣装部屋


ドアを買った時に付いていたドア枠を使用しなかったので、ミラーシールと組み合わせて工作し姿見を作りました!これも鬼ピタで壁にくっついています。
ミラーシールはこういうもので、100円ショップにも売っています。


壁掛けは木製マドラーをニスで着色し、アルミワイヤーを接着したもの。金の飾りはデコレーションシールです。壁には鬼ピタでくっついています。
奥のラックは、まな板ホルダーと竹ひごを組み合わせたものです。このあたりの材料は100円ショップです。

書斎


書斎の床に敷いているのは貼れる布(ベルベット風)を厚紙に貼ったものです。絨毯風。
腰板は地味に工作しました。木製マドラーはハサミで切れます。ひたすら切って長さを揃え、マドラー同士をボンドで接着、横木は木材を買ってきて切り取り、マドラーを繋げたものと接着してニス塗りをして完成!……半日まるまるかかっています。
ちなみに、100円ショップで売っているような柔らかめの木材なら、カッターで跡をつけるように同じ場所をなぞれば切れます。
ポスターなども鬼ピタでくっついています。

番外編 クリスマスツリー


ツリー自体は100円ショップのもので、足が長かったので切りました。金属だったけど大きいハサミで無理やり切れました(危険なのでやめといた方がいいです)。

横から見るとこんな感じで、ボリュームが足りないので後ろを捨てて前に枝を寄せるびんぼっちゃま方式です。飾り自体もナチュラルキッチンで100円だった割に上等にできたと思います!

番外編その2 そのほかの作ったもの



ミニチュアフードは売られているものも多いですし作家さんもたくさんいらっしゃいますが、ぬいは顔と手のバランスがおかしいのでちょうどいいスケールのものが見つからず、自作。作り方を詳しく載せてくれている方もたくさんいらっしゃるのでたいへん参考になりました。無いから作る、オタクだからね。


トランク(開かない)。開かなくてよかったのは最初からディスプレイ用だからです。ボンタンアメの空き箱にレザーシールを貼り付けて工作しました。結構お気に入りです。


これらは1年くらいかけて、お気に入りのものを探したり気が向いたときに工作したりしたもので、ゆっくり楽しんでいます。
今は壁紙を貼ってみたいな〜と思っています。
みなさんも楽しいぬい活を!

◆宣伝◆

PARCO PRODUCE 2023『マヌエラ』
【東京】東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 2023年1月15日(日) ~ 2023年1月23日(月)
【大阪】森ノ宮ピロティホール 2023年1月28日(土)・29日(日)
【福岡】北九州芸術劇場 大ホール2023年1月31日(火)

自作ぬいのための自作ぬい服


6月の花嫁たち!
こちらは『ピガール狂騒曲』のぬいたちなのですが、『ピガール狂騒曲』はシェイスクピアの『十二夜』が原案なのでW結婚式だ〜!と思って総力を上げました。

そして気付いたらだいぶ自作ぬい服がたまっていたので、ぬい服まとめ記事です。
ちなみに、シャルルおじさん(写真1枚目の左)もジャンヌちゃん(写真1枚目の右)も、一度頭の綿を詰め直しています。今「はじめての自作ぬい」を見るとちょっと顔が違いますね。やっぱり初めてだと綿の詰め方が甘かったみたいです。自分で作っているので頭を取るのも簡単(生首!)。

ぬい服の型紙

自作ぬいだと、当然のことながら市販ぬいのメジャーなサイズ規格からは外れてしまうので、ぬい服も自作の一手という感じです。
わたしが基本にした型紙は、にーびさんが公開されている以下3種類です。わたしがやってみたアレンジ方法もメモします。

トップスの型紙 - ぬいくるみや - BOOTH

  • 裾を短くする…トップスが長すぎると足が短く見えるので、5ミリくらい裾を詰めました。
  • 生地を変える…前身頃と後見頃をベスト生地にして袖だけ白にすると、白シャツ・ベストで組み合わせたトップスになります。
  • 前後逆にして使う…前身頃を後身頃にし、後身頃の別れたパーツを前に持ってきてジャケットにしてしまいます。そのまま使うとジャケットの前身頃になるパーツがかなり余るので、実際にぬいに着せてみて、開き具合や襟の形に合わせて調整しました。重ね着前提のジャケットなので、型紙は一回り大きくして作ってみて、これも実際にぬいに着せてみて調整です。

ズボンの型紙 - ぬいくるみや - BOOTH

  • サイドラインを入れる…フォーマルなパンツなどには2ミリのリボンを縫い目に貼り付けてサイドラインをつけました。
  • 裾を伸ばす…靴を履かせてみると意外と足が長くなったので、バランスの調整のために5ミリくらい裾を伸ばしました。

ぬい用ワンピースの型紙 - ぬいくるみや - BOOTH

  • 上半身の型紙を主に使用し、スカート部分はほぼ全て自分で型紙から起こしました。上半身のほうが形が複雑なので、上半身の型紙については頼りきりでした。
自作ぬい服全種公開












ぬい服TIPS

シャツ(ベスト)裏側

100均のマジックテープを使用しているので、それだけで結構厚みが出ます。わたしのぬい服は基本ジャケットもセットになるので、背中が膨らんでしまうとジャケットがみっともなくなってしまいます。上のトップスの場合はサテンリボンに薄手接着芯を貼っていて生地自体に厚みがあるので、マジックテープははみ出してつけます。下のトップスの場合は生地が薄いので、そのままアイロン接着してしまいます。

トップス小技いろいろ

リボン貼り付け…困ったら2ミリリボンを貼り付けるとだいたい何とかなるんですが、この場合は茶の無地シーチングにゴールドのリボンを貼り付けてストライプのテキスタイルっぽくする荒技を生み出しました。
リボン貼り付けその2…実は襟も、7ミリくらいのリボンを鋭角にカットして貼り付けしたものです。
シール貼り付け…100均に売っているこういうシール、いざというときに重宝します。
ボタン貼り付け…穴が空いていますが容赦なく接着剤で貼り付けます。

ジャケット小技いろいろ

襟リボン…リボンを折り返して接着するといい感じになりました。カットした部分はほつれ止め液を念入りに使ってください。リボンでなくて別布を用意してもいいですが、リボンの方が端処理が簡単でした!
ボタン貼り付け…ベストのボタンと同種にならない方が自然に見えます。大きさと材質が違うものがあった方がベターですね。
胸ポケット…シンプルに穴が空いています。お花の入れ替えは可能ですが固定が難しいので裏からマステで留めてあります。(ジャケットの前身頃が浮いてしまうときも裏からマステで留めれば良し。)

大変だったシリーズ

スカート部分は型紙を起こしたのと、パーツの多さが単純に大変だった!あと色んな方向から布を断つので何度か取り間違えたし、柄合わせにも気をつかいました。

見てもらえればわかると思うんですけど、工程が多かったです…。これもスカート部分は型紙を起こして、スカート部分にはレースを段を変えて2枚縫い付けています。でも思い通りの透明感が出て良かった!


今は100均と通販でだいたいのものが揃うし、作り方をWEBで公開してくださっている方もたくさんいらっしゃるので、まずはやってみると、そのうちできます!(2ミリリボンの貼り付けが異常に上手くなりました。)
よくわからない部分や知見がないところを、どうやったらできるかな〜と考えるのも楽しいです。
ただ課題としては、布がめちゃめちゃ増えます。

珠城りょう1stコンサート『CUORE』大阪公演を見たので感想を書くよ!

珠城りょう 1st CONCERT『CUORE』|梅田芸術劇場

大阪公演数 6/7回参加してきました。楽しかっっっった!

東京公演開催前ですがセットリスト含めネタバレに配慮がない記事となっておりますのでご了承ください。

 

あまり小まめに感想を残さない性質なのですが、先日梅芸公式アカウントからのツイートにもありました通り❝※本公演は、Blu-ray・DVD等の発売の予定はございません。❞とのことなので、何でもいいから残しておきたい。がんばっていきたいと思います!

ちなみに、梅芸の公演ホームページ最下部には❝※本公演は、DVD等の発売の予定はございません。❞と記述があり、これは公演前の早い段階で掲載されていましたので、最初から販売物としての版権関連の整理をしていないという意味だと思います。要望が多くても円盤化は難しいのかなと思っていますが、せめてスカイステージで放映があったら嬉しいですよね。

 

はじめに

退団後に元トップスターのOGに関してはほぼ例外なくソロコンサートが開催される流れは把握していましたが、正直、珠城さんでソロコンサートって柄じゃないしそもそも本人が引き受けてくれるんだろうか?というのは思っていて、いざ開催が発表になるとやっぱ柄じゃないという気がして、期待と不安の配分的には3:7で不安が勝っていました。

不安の一つには宝塚OGのソロコンサートって閉鎖的なんじゃないかという偏見があったのです。少なくともわたしは、退団直後のタイミングで宝塚時代の楽曲をやって欲しいとか男役をもう一度見たいとか思っていませんでしたが、逆に退団直後だとそれが鉄板だという制作サイドの読みも理解できる分複雑で……。さもなければ「女になる」ということにフォーカスすれば話題性がありますよね、でもそういうものを、そういうことを要請されている姿を見たいかと言われるとそれもそうじゃなくて、……と不安でいっぱいになっていたんですけど、ぜ~~~~~~~~~~んぶ杞憂でした!やったね!

これ以上ないくらい、珠城りょうらしいコンサートでした。

演出の川崎悦子さんと、珠城さんがやってみたいことなどたくさん話し合って作っていったらしく、徹底的に主体として関わっていこうとするそのやり方もそうですけど、コンサートを見たら本当に彼女らしくて嬉しかったです。

「珠城りょうのソロコンサート」というよりは「『CUORE』というステージ」を見ているという印象が強く、もちろん珠城りょうが中心なんですけど、共演者がメインになる歌ありダンスありで、毎公演共演者全員の自己紹介的なコーナーも用意されているんですよ。(珍しくない!?)おかげで、今回初めましての方も、顔と名前がしっかり一致してその個性まで十分伝わってきて、珠城さんが在団中月組に言及するときによく言っていた「みんなが粒だって見える」っていうのがこのコンサートでも同じで、珠城さんは変わらずこういう作品を作りたいんだなーと思いました。

そして珠城さんはとっても伸び伸びと開放的で、楽しそうでした。ちょっとテキトーなところも少女みたいにピュアなところも隠さずに全部見せていて、それが彼女の大らかさとか柔らかい明るさみたいなものになって劇場を包んでいました。(はじめに、って文量ではない)

 

セットリスト

CUORE号で時間旅行をするコンセプトで進行していきます。最初は近未来。

珠城:ネイビーにシルバーをポイントで使ったロングコート

  • Amazing/Official髭男dism
  • This Heat & Soul/珠城りょうオリジナル楽曲

珠城:一人残ってMC &給水、コートを脱いで白のノースリーブのドレス風に白パンツ、そしてみんなでFogFog体操

女子’sの小芝居コーナー(笑)、この後1930sへワープします。

  • Route66(上口・砂塚・廣瀬)

珠城:グリーンのパンツスーツにサングラス、黒髪ボブの鬘、赤いパンプスで登場

  • Fever

珠城:サングラスを外して赤のつば広帽子、スタンドマイクを使用

珠城:つば広帽子は外してジャケットは脱ぎ、フレンチスリーブの黄色のブラウス

  • Sing Sing Sing※ダンスナンバー

メンバー全員のアップデートタイム(フルネームと誕生日とアップデート情報?の紹介あり)、場転後ここからは宝塚時代(以下3曲はゲストがいないときのパターン)

珠城:黒燕尾で登場、髪は下したままですが後ろで小っちゃく結んでるかも

一人でMC、続けて1曲

珠城:黒燕尾のジャケットを脱いで白ベストとハット、風馬翔さんと

  • Mr.Bojangles※ダンスナンバー

「それぞれの1年」に移動します、とCUORE号のアナウンス

  • Seasons Of Love/『RENT』(上口・風馬・中西・砂塚・廣瀬)

珠城:クマちゃん2匹のせたお帽子、ジャケットにロングスカートチェック合わせで登場&一人MCしてからメンバー呼び込み

メンバー勢ぞろいで、一人ひとり挨拶というかフリートークコーナー

珠城:クマちゃん帽子脱いで、一人で

以下アンコール的なやつ、珠城:グッズTシャツに水色のジャージ風パンツで登場

  • Dream Chaser/『Dream Chaser』
  • プレリュード/珠城りょうオリジナル楽曲

 

手厚い

ダンスの要素が多いので、珠城さんが一人で歌ってほかのメンバーが後ろで踊ってるという感じではなくて、珠城さんはダンスボーカルグループのメインボーカルみたいな感じなので全体のフォーメーションに入りながら踊りながら歌うことが多いです(大変では!?)。なので、メンバーと一緒に絡む場面も多くてカンパニーの一体感がありました。上記セットリストで楽曲の後ろ()内の名前は、珠城さんが登場しない楽曲でメインになるメンバーです。

珠城さんが登場しない楽曲も全く飽きさせません。普段女性のダンスばかり観ているからRoute66での男性メインのダンスは久しぶりでカッコよくて抜け感があってご機嫌で気持ちいいし、SOLは毎回感動しています。1曲目AmazingのいわゆるAメロかな?下手に男子3人が階段付近に集まってるときは振付自由にやっているそうで、毎回違うことやってるので見たほうがいいです!

そして特筆すべきは「めっちゃメンバー紹介する」です。メンバー全員、フルネームで呼ばれるシーンが計3回くらいある。さらにフリートークコーナーでも自分で名乗る。わたしこういう形式のコンサートとかライブとかで、こんなにメンバー名呼ばれてるの見たことないし初日は若干面食らいましたよ。でもとにかくカンパニーの雰囲気がいいんですよ、ちゃんと気の置けない仲間になっている感じがして。

このコンサートは生演奏なのですが、最後はバンドメンバーもステージに一緒に上がって一礼があって、バンドメンバーも初日は固い表情だったのがどんどん笑顔になってきて、客席が楽しんでいるのが伝播してる・客席とステージで伝播し合ってるなーというのを回を重ねるごとに感じました。

珠城さんの挨拶やMCでも「隅々まで見てください」だったり「出演者の方のファンで観に来ていただいてる方、」みたいな言及があったり、千秋楽の日は「(共演者は)プロフェッショナルで仕事に対して真摯な方ばかりです、これからも様々なフィールドでの活躍を追いかけていただきたいです(大意)」って話をしたり、変わらないな~!って思いました。こういうコンサート構成になってること自体、めちゃくちゃ珠城りょうの波動をかんじる。

Twitterで出演者のファンの方が観に来てすごく楽しんでくれているのをめちゃめちゃ見てるんですけど、すごく嬉しいです。

 

 

この段落は6,670字あります

ドンドコドコドコドンドコドコドコ(※血が沸騰する音)勢いに任せた感想行ってみよー!

近未来の幕開け2曲はCoolでカッコよくて男役からのイメージと地続きに違和感なく、でも在団中に出したSpecial Blu-ray BOXで披露されているAmazingと比較するとやっぱり全然違いますよね。しなやかというか伸びやかというか、そして男性と一緒でも見劣りしない体躯というかドーンと感は変わらずで、コース一品目が前菜じゃなくてカレーライス出てきた!感ありました。カレーライスはうまい。

そのあと珠城さん一人残って、なぜか「脱ぎます」って宣言してコート脱ぐんです。そんな、ステージに一人しかいなくて「脱ぎます」って言われたら見るじゃないですか、オペラグラスで。ちなみに公演日程前半は「見ないでください」とか「オペラグラス禁止!」とか無理なことを言ってたんですが、後半は「言っても見るんでしょ……」「どうぞ見てください」と諦め(?)の境地に至っていました。客席に背を向けてのお着換えの最中にチラッと振り向いて客席を見たり、コートのジッパーが途中で引っ掛かっちゃって足元に落として脱ぐとか、なんか色々ありました。

ロングコートを脱ぐと、白のノースリーブのロングワンピース風に白のパンツでシルバーがポイントで使われているので引き続きちょっとSFっぽく。二の腕がふわふわ( ◠‿◠ ) トップスターのときはパレード衣装がやたら真っ白だったけどやっぱデザイナーさんの慧眼ですよ、真っ白なお衣装やっぱり似合う!白の清廉さに負けなくて、今のお姿で言うとギリシャ神話の女神じゃないですか……?という、珠城さんは白がすごく似合うという話です。(なのにこのお衣装1曲で着替えてしまうの!勿体ない!)

さてここで上口くんがチーフパーサー(※珠城さんのことです)に声をかけて、「ほぐほぐターイム!」なるものが始まります。初日、この「ほぐほぐターイム!」って言われたときに客席に走った緊張感が忘れられません。ヤバ……サムい感じの客席参加型コーナーか?!無茶するなっっっ!という鋭い亀裂がステージと客席の間に走ったのでした。しかしその直後に上口くんが「ンン〜gravity〜Ah」と言い出したので、よかった笑っていいコーナーだと一気に空気が緩みました。助かりました。なんだかんだみんな1回目からしっかり首肩運動してて偉いと思います。ちなみに、ちゃんと効くので真面目にやることをお勧めします。そしてこの FogFog体操は次のナンバーの振付へと繋がっていきます。

ミュージックブレイク!これ振付がとってもいいですよね。全員出演してるナンバーなんですけど、フォーメーションがすごくかっこいい。曲終わりに女子チームの小芝居があって、CUORE号は1930sへワープです。

Route66の後はFever、珠城さんは黒髪ボブの鬘にでっかいサングラス、グリーンのパンツスーツに赤のレザーの手袋も赤のパンプスも真っ赤な口紅もドストライクでいい女の色香がすごい。1930sのコーナーはわたし申し訳ありませんけどブレスライトを振るどころか点灯さえしてませんし手拍子とかもできてませんしただただ息を詰めて見ています……。だってこんな……そんな……アアッ!!ってなってたらスタンドマイクで中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」。

中森明菜と珠城りょうなんて陰陽の関係じゃないですか?近未来コーナーがなるほどだとすると、1930sコーナーの珠城さんはエロいです。(ついに言葉を選べなくなった)

挑発的で誘うような強い目、”陰”ではないんだけど湿度の高い感じがスゴイ。いや~この歌珠城さんにこんなにハマる?びっくりなんだけど……でもちょっと待ってください、スタンドマイクに沿わされた両手を見逃さないでくださいね??前の曲ではレザーの手袋してたのにわざわざ外してるから、これはわざとですよ。あんなに妄想掻き立てちゃう手の動きってあります?(よく考えたら男役のときの珠城さんも手の表情はだいぶエロかったわ……)一番最後にマイクスタンド引きずる後ろ姿も好きです。あと完全に言いそびれましたが、ここの女子チームの衣装が彩度高くてみんな素敵で大好き!

続いてダンスナンバーSing Sing Sing、結構、ハード!だから見ごたえもあり、珠城りょうの太もも芸が発揮されているナンバーでもあります。珠城さんはグリーンのジャケットを脱いで、黄色小花柄っぽいフレンチスリーブのブラウスになっています。結んでいない細いリボンが胸のあたりで跳ねているのがニクい……1930sの珠城さんの衣装、小物遣い含め細部に至るまで腕を振り上げて叫ぶ勢いで最高ー!緑のジャケットについている🍒のブローチが超可愛い。

これが終わると出演者が横一列に並んで、「芸名:誕生日:近況、アップデートが完了しました」というテンプレートでアナウンスが続いて、全員が捌ける流れのコーナーがありました。例えば「珠城りょう、イチゼロゼロナナ、得意料理がロールキャベツになりましたね?」みたいに。珠城さんはちょっと得意げにコクンってしてる。可愛い。大阪公演中に植竹さんのお誕生日があり、「植竹奈津美、ゼロゴーゼロニ、」ってあたりで客席から拍手が起きていました。後述のフリートーク(?)コーナーで、その日の植竹さんが挨拶したときに、珠城さんが「今日誕生日なんだよね?」って振っておめでとうの大きい拍手になっていました。植竹さんは公演中にお誕生日を迎えるのがはじめてということで本当に嬉しそうで、とってもあたたかい雰囲気でわたしまでなんだかうれしくなってしまいました。

 
 
 
 
 
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ここからは宝塚コーナーで、ゲストを迎えた回はここから彩凪翔さんの登場でした。なぎさまのソロのあとトークがあり、二人で歌うのは『JIN-仁-』と『誠の群像』から1曲ずつ。それぞれずっと雪組ずっと月組であまり接点が見えないお二人ではあったんですが、珠城さん本当になぎさまのこと好きなんですね……。珠城さんが犬っぽいって言われる理由のひとつは、うれしいたのしい大好き!なところが特に素直に出るからだという気がするのですが、ほんとうに尻尾パタパタさせてなぎさまの足元にまとわりつく犬みたいでした。

なぎさまが披露してくれたエピソードの中で、珠城さんのほうが先に退団発表していて、もうタカスペご一緒できないんですって挨拶された際に実は自分の方が先に退団するのだと伝えたら珠城さんがその場で号泣していまい、それが劇団の廊下だったんだけどまだ彩凪さんの方は発表になってなかったから「バレる、バレる!」って焦った話をしてくれました。そのあとなぎさまが花冠で珠城さんに会ったときもやっぱり珠城さんは大泣きしていたらしいです。立場が似ていてかつ一緒の組じゃない、ってところが、素直に打ち明けたり話せることもあったんでしょうね。

ゲストがいらっしゃらない回は珠城さんのソロで『太王四神記』『ベルサイユのばら』『グレート・ギャッツビー』より1曲ずつ。どれも新人公演含めて、珠城さんが演じていない役の歌です。下級生時代にファンから「見てみたい」と言われていた役の中から選んだそうで、『グレート・ギャツビー』に関しては完全に偶然だそうです。選曲が終わったあとに演目発表を知ってびっくりした*1とのこと。どれもお芝居の歌を選ぶところが珠城さんらしいですね。

ここでは黒燕尾での登場ですが、珠城さんは「私が着たいって言ったわけじゃないですよ?!」となぜか毎回弁解しつつ、やっぱり黒燕尾を着るのはすごく嬉しそうです。でもこの黒燕尾は劇団のものじゃなさそうな……。女性が補正なしで着るように仕立ててあるもののような気がします。特に袖が細身で、ちょっと馴染みがないシルエットだなと思いました。まあ珠城さんもリーゼントというわけでなく、柔らかそうな髪の毛が肩上でウェーブしてるフェミニンな印象なのでバランスですね。

どの曲も男性の役なので、黒燕尾っていうのは男性という概念の表現でもあるのかなぁと思ったりもしました。出で立ちが女性でも、男性を演じて男性として歌っていると、表情自体は男役の顔になるなぁと、ちょっと胸が詰まったりもしました。

そしてこのコーナーの最後は宝塚の楽曲じゃないのですが『ノートルダムの鐘』より「僕の願い」、これは圧巻でした。楽曲の世界というか、この役が見ている世界がこちらにも見えるようで(その世界を役の人物がどう見ているかという感情込みで)、それはこの楽曲を知らなかったとしても「見える」んです。タカスペで初めて「蒼穹の彼方」を聴いたときも同じように思いました。ミュージカルにもこれからご縁があるといいなぁと思います。流れ込んでくるものがデカいので、そういったパワーが溢れ出しているところにまた出会いたいですね。

Mr.Bojanglesは風馬翔さんと二人で踊るダンスナンバー。珠城さんは黒燕尾のジャケットを脱いで白シャツ・白ベスト姿で、これも女性的な曲線の出ている”男役じゃない”シルエットでした。かけちゃんさんは黒シャツ・黒ベスト、二人で踊る姿はうっとりする時間でした。あと珠城さんは相変わらず小物の扱いが上手い(※ハット)。

CUORE号も次が最終目的地、「それぞれの1年」「現在」です。この幕開けがSOLで、前述しておりますがやっぱいいですね……。廣瀬さんはお調子者っぽいキャラなのに、ここだいぶかっこいいのもズルいですね。良いと思います。

一旦全員捌けて、上手から珠城さん一人で登場してこれが本邦初披露のスカート姿!ということなんですが、初日の空気「思ってたんと違う」がストレートに出てしまう客席であった。うん、インパクト的には1930sのほうがすごかった。珠城さんの衣装にしてはだいぶデコラティブで、おそらく珠城りょうのファンはその組み合わせを見慣れていなさすぎてなんならスカートよりもそっちのが気になったくらいではないだろうか。まぁもう見慣れたんですけど。

珠城さんも敏感に客席の空気を感じ取って「この人頭にクマ2個も乗っけてると思ってるでしょ~」ってブツブツ言ってて可愛い。で、ここからは明るく楽しい楽曲をお届けしますのコーナーで、WINDING ROAD!突然日曜昼下がりの河川敷みたいな雰囲気になります。こういう感じの楽曲が続くけど、和気あいあいとした感じが反映されてて居心地もよくて最高。太陽と土のにおいがするーー。

このあと出演者全員呼んで、一人ずつ公演の意気込みを!というテイのフリートークコーナー(謎)。でもものすごく楽しいの、どんな人かわかってくると更に楽しくて、というか誰かがしゃべってる間も後ろでわりとみんな好き勝手やっているので自由です。初日はここが長引きすぎて(※珠城さんの好きなところの発表会もしてしまった)、トータルで30分くらい伸びたんじゃなかろうか。基本的に100分で終わったことないです。

目玉は風馬翔さんで、順番が回ってくると客席が完全に「待ってました!」ってなってるんですがその期待に応えなかったことがないですね。話術に長けてるし返しも秀逸だし、何よりカラッとした明るさと熱さのある人なので、空気が変わるのがすごいです。珠城さんが同期で是非にとオファーして出演していただいていますが、珠城さんの心強い味方ってだけじゃなくて、完全にカンパニーのムードメーカーになっていてるようです。田口さんだったかな?毎日笑って暮らしてるんだけどそれは主に風馬翔さんが原因、みたいな話をしていて、それが本当に楽しそうで、この公演が内輪っぽくならなかったのはかけちゃんさんのおかげっていう部分も大きいんだろうなぁって思っています。

そしてこのトークコーナー(謎)、香盤逆順にまわってくるので、かけちゃんさんでその日一番の盛り上がりを見せた後の大トリが上口くんでやりづらさが半端ない。がんばってほしい!珠城さん初日あたりは「こんな扱いしちゃいけない人なんだよっ!」とか言ってたけど、だんだん振りも雑になってきて、上口くんががんばっている。お世話になっております。

2曲続けてI'm Still Standing、沈丁花とカンパニーの良さが出ているナンバーです。沈丁花の最後のほうでそれぞれ珠城さんと絡んでから捌けていく振付のとき、投げキッスの応酬とかハグしたりとかあるけど、上口くんといつも絶妙に嚙み合ってないのがツボです。あれ思い出します、Dream ChaserのHymn of lifeで似たようなところあったじゃないですか、最後のれいこさんとの絡みだけいつも絶妙に噛み合わないあの感じ( ˘◡˘ )

最後は、珠城さんがどうしても最後に歌いたいとお願いしたという「いのちの理由」。あんまり歌詞聞けてないんですが(ごめんなさい……)、客席で揺れるライトと珠城さんの歌声を聴きながら暗めの照明のなかでぼんやりしてるの満たされるんですよね。ちょっとだけ自分が優しくなれたような気がしたりして。

暗転してもこのご時世なんで「アンコール!」とかできなくて(あれ?でももしかして宝塚OGさんのコンサートって呼び込みは「アンコール!」じゃなくてもともと拍手なのかな?)、割とさっくり続きだよ!って感じではじまるんですけど、続きって……こいつぁDream Chaserのイントロじゃねえかっっ!ってなってるときに、やっほー!みたいな感じで登場する珠城りょうさんがグッズTシャツにサイドにライン入りのジャージ風パンツで爽やかさの権化みたいになっててたいそうのおねえさんでした。れいこさんのところで上口くんが入ってくるからやっぱり2番手だった。

ここで観客に手を振ってほしい珠城さんvs手拍子したいファンの抗争がありましたが、ブレスライトによって手を左右に振りながら左右で手拍子するという荒業で平和的解決をしました。(最終日に珠城さんに「すごくない!?」って褒められました。)

やっぱりDream Chaserは思い入れがありすぎて泣いちゃう人が毎回いるから、歌い終わると珠城さんが「あ~泣かないで~」って客席をあやしてくれるおかあさんになっちゃう。何とか笑ってほしくてがんばってる珠城さんがまぶしい。しかも宝塚時代の完璧っぽい生徒会長的なピカッ!って感じではなくて、近所の優しいおねえさんみたいな雰囲気になっててポカポカ陽気みたいなやつです。はっ、冷めないホッカイロ*2!?そういうことか……。

ほんとに最後の1曲は珠城さんのオリジナル曲、宝塚OGのオリジナル曲ってなんかもっとこう…みたいな偏見があったのですが(偏見まみれではないか)、いい意味でEテレみんなのうたかもしれない。♪あたっらっしい靴からはじまるステップ♪って歌いながら珠城さんがちょっとぴょんぴょんしている明るくて穏やかで元気になれる楽曲でした。こんな表現でしか伝えられないんですけど、わたしのこの楽しさ伝わっていますか?!

珠城さんは1回の公演中で何度も、回を重ねても毎回何度も、「しあわせ〜」「これしか言えない、しあわせ〜」と言っていて、ただ彼女の感じてる幸福は彼女だけが感じてるわけじゃなくて、ステージにいる人・見ている観客の間でも共有できているって確かに思えて、そりゃあ何度でも言っちゃいますよね。本当に、このステージに巡り会えたことは僥倖だと思っています。

なお、珠城さんは終盤に行くに従ってどんどん楽しくなっちゃうので、声が高くなっていくし袖に入るときもぴょんってしてます。TBS系ドラマ『マイファミリー』に珠城さんが初登場する回の日の夜公演、「このまま幸せな気持ちで眠りについてください〜!」って客出しの挨拶を満足げにした珠城りょうさんであった。『マイファミリー』は連続誘拐事件を扱ったハッピーとは程遠い作品なので見なくていいっていう意味???と若干困惑しましたが(※もちろん見ましたが)、翌日恥ずかしそうに昨日番組の告知を忘れていたことをお話ししてくれました。ご自分でも今まで7:3の7でしっかりしてる方だと思っていたのに実はしっかり3しかなかった……と話題に出していましたが、割と普通にうっかりしています。初日は段取り間違えてたし。今まで、足りない4の部分は責任感と使命感とで埋めていたのかと思うと、今後は4を誰かに助けてもらったり頼ったりまぁいっかってしたり、存分にしていただきたいと思いました。

 

おまけ

可愛いって言われ慣れていない珠城りょうさん

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お話しながら上半身がすごく揺れる珠城りょうさん

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CUORE大阪千秋楽が完全にテニミュの大楽だった件

テニミュの大楽だったと言われてもわからんわいと思われるのは承知しておりますが、テニミュ生まれテニミュ育ちなのでご容赦ください。これ以上に適切な表現をわたしは知らないのです。ステージ上も客席もちょっと過剰なくらいの感傷と興奮とを何とか抑えようとしているのだけど、全然ダダ漏れになっちゃって暴走しそう(たまにしちゃう)、みたいなあの空気感。当然だけど出演者みんないい大人なのに、こんなことがあるんだなぁって思いました。

トークコーナーでは廣瀬さんがちょっと感極まっちゃった感じで言葉に詰まっちゃって、キャラじゃないのがやばいと思ったのかテンションで誤魔化しててすごく可愛かったですね。また、これまでこのコーナーで観客の心を掴みまくってドッカンドッカン沸かせていた風馬翔さんは珠城さんと一緒に出演できたこと・共演できて見えたもの、そういう話をし出して珠城さんはすぐ泣いてしまうし(かけちゃんさんも話しながら泣いてるし)、なぜか田口さんや植竹さんも泣いてたし、廣瀬さんはかけちゃんさんにティッシュ持ってきてくれました(袖まで入って取ってきてくれた)。ワケわかんないくらいエモでした。パフォーマンス中も、寂しいな終わって欲しくないなでも楽しいなっていう、幸福な寂寥感で劇場がいっぱいになっていました。

一番最後に、客席から立って観客に拍手で呼ばれた珠城さんがウェーンって子どもみたいに泣いちゃって、意訳すると、「これまでもこんなふうに呼んでもらえることはあったけど、それは月組のみんなも一緒だったからで、私一人でも呼んでもらえるんだと思ってすごくうれしい」「私はここにいてもいいんだと思えた」ってことだったんですけど、何しろ泣き方がよしよしってしたくなるようなあどけない感じだったので、悲壮感とかは全くなく、「よし!やってやるか!と思いました!」と締めには元気な宣言をしてくれました。

なんかこれがまた、テニミュで初めての主演で普段はリョーマ像から乖離しないように振る舞っていたけどもちろん不安もプレッシャーもあって、でもやり遂げてここからやっていけるぞって思った座長の大楽挨拶みたいだな……(古田一紀くんを思い浮かべている)などと思いました。

今まで男役が好きで男役をやってきたんだから、ファンが思うほど、男役をやめてからも芸能活動を続けるかどうかというのは地続きではないんだなぁと思いました。葛藤や不安はもちろん本人が一番あるんでしょうが、今の珠城さんは新しい環境でいろんなはじめてに出会うのがすごく楽しそうなので、そういうところを遠くから拝見したいなーと思います。

明日からは、東京公演だっ!

 

参考にさせていただきました

ありがとうございました!

 

 

www.youtube.com

 

*1:月組次回大劇場公演は『グレート・ギャツビー

*2:ちゃぴちゃんこと愛希れいかさんが珠城さんを例えたもの。ちなみにちゃぴちゃんは一貫して珠城さんのことを「おねえさん」と言ってました。「おにいさん」じゃなく。

[実用]ぬい服に便利な素材・クローゼットボックスとハンガー

Greatest  Moment楽しかったですね!

珠城りょうさんが退団後初の舞台のお仕事だったのでお目当てに行って参りましたが、宝塚OGの皆様の魅力にあてられて、珠城りょうさんの出演していない回のチケット(花組Bver)まで増えました(3枚)。1週間のうち5日くらい東京国際フォーラムに行ってた。今はスカイステージで放送している1990年前後のTMP音楽祭〜TCAスペシャルを毎日見ています。あとまた東京国際フォーラムに行きました。明日海りおさんのコンサート。こちらもとっても素敵だったので、世の中では私の知らない楽しいことをいっぱいやっているんだなぁと思いました。

 

一方でぬいのお洋服を作っています。

①最初に作ったもの(前の記事をご参照ください)

②次に作ったもの(ハロウィンおじさん)↓

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③①のセットアップになるジャケット↓

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④死に場所を求めて彷徨うおじさん(の服)↓

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⑤訪問着兼お稽古着↓

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⑥ガブリエルのお稽古着(着用モデル:ジャンヌちゃん)↓

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ちょっとずつディテールの再現度が上がっています!(↓ズボンのラインはこだわり)

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お洋服の素材メモ

1.5ミリ幅リボン

①のベスト・③のジャケットの縁取りや④⑤のズボンのラインに使用しています。(色のバリエーションたくさんありますよ!)

 

貼るレザー

ブーツやお洋服のポイントとして使っています。レザーは合皮でも本革でもとにかく厚くなりがちで、ぬいサイズの加工に向くものが見つけづらかったです。こちらは薄いので加工が簡単で、これはとてもおすすめです!(茶系だけでも4種類くらいあります)ブーツは薄手の布に貼って加工しています。

item.rakuten.co.jp

 

ドール用ボタン

③④のジャケット・⑤のベスト・ジャケットで使っています。アンティークゴールドのほかに、ゴールドやシルバーもあります。

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デコレーションシール

似たようなものを100均で売っていると思います。わたしはこのアルファベットシールにハサミを入れて1個ずつ使っています(②④のベストのボタンで使用)。思ったより強力な粘着力でした。剥がれる心配はありません。

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貼れる布(シール)・ベルベット

こちらはダイソーで売っています。②③④⑤のジャケットの襟や袖口に使っています。布に貼っただけだとそのうち剥がれてきてしまうので、シールは仮留めテープが付いているくらいに思って端は接着剤をつけて固定したほうがいいでしょう。雰囲気が出るので重宝しています。

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変な布はだいたいここで買っている

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ほとんど10㎝から買えるようになっていると思うので、ぬい服作成にぴったりなんです。小口も小口なのでお店にはちょっと迷惑かなと恐縮ですが。

 

そうこうしている間にまた服を作りました。

②のジャケットの改良版です。

これはベロアに接着芯を貼ってフロッキー生地っぽく見せる術です。裏地は両面接着芯でくっつけています。襟は本体とは別布で作り、折り返して本体生地に貼っています。

 

たくさんお洋服を作るとクローゼットボックスがいっぱいになって楽しいです。一緒に住んでる感…!

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せっかくなのでクローゼットボックスの作り方

用意するもの

・小物入れの小箱(セリアにあります)

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・写真立て2つ(付属品の棒を使いました)

・水性塗料あるいは水性ニス

・紙やすり

 

①箱の表面に紙やすりをかける

②ニスを塗る

③接着剤で棒をコルクにくっつける(注意!接着する位置が上すぎると蓋が閉まりません。蓋の木製部分を避けるように配置しましょう)

④できあがり!

※10日くらい経過、さすがに接着しただけの棒が下がってきています。耐荷重はほとんど考慮しなくていいとは言えさすがに無理があったかしら。もし代替案を見つけたら追記します。

 

ついでにハンガーの作り方

用意するもの

・アルミワイヤー(100均にあります)

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・TAKARAZUKA SKY STAGE 「TAMAKI」BEST SCENE SELECTION の箱(なければ代用品でも可)

①3センチ程度で軽くワイヤーを曲げる

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②型に沿って鋭角に曲げ、直線を整える

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③鋭角の角を持って角度を調節する(ここからの作業で直線部分が曲がってしまったら、机など平らな場所で整形します)

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④長辺は6㎝程度とり、反対側も同じように鋭角を作ってから角度を調節する

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⑤長辺の中心に来るようにワイヤーを曲げる

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⑥手近なもので丸く整形する(これはチャコペン

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⑦余った部分を切る

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⑧できあがり!途中でワイヤーが浮いても大丈夫です。平なところで上から押し付ければきれいになります。

 

こういう小さいタイプのクリップが100均にありました。

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これをハンガーを整形する途中でワイヤーに通しておくとズボン用ハンガーになります。

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よく考えたら[実用]って何……?

はじめての自作ぬい

ある日突然、ぬいへの衝動が迸った。

この時点で100均のソーイングセットしか待ち合わせのなかったわたしですが約半月後完成しました。

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ぬいを作ろう!

 

初心者は道具に頼ろう

針山や刺繍針など明らかに必要そうなものを100均で買ったあと、最終的に買い揃えた道具一式です。

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・手芸用はさみ…ユザワヤで500円くらいでした。細かい作業が多いので、刃先が小さくて切れ味の良いはさみがあると精度が違います。

・糸切りはさみ

・ほつれ止め液…端処理不要な布だけ使うのでしたら不要ですが、服を作るなら必須です。

・2B鉛筆…刺繍下絵を描くのに使いました。家にプリンターがある方は不要だと思います。(後述)

・チャコエースⅡ(紫)…インクタイプのチャコペン。紫はゆっくり消えるので重宝します。鉛筆タイプは印をハッキリつけようとすると線が太くなってしまい、細かな処理の多いぬい作成においては致命的です。

・刺繍枠

・両面テープ…型紙と布とを留めるときに使います。必ず布用とか手芸用とかあるものを選びましょう。ものによっては両面テープを剥がすと布に粘着層がベッタリついてしまうものがあります。

・マスキングテープ…仮留めに使います。

・クリップ(小)…マチ針を使うのが下手くそだったので布の固定に使いました。

・ピンセット…服の細かい装飾をするときに使います。

・裁ほう上手(布用ボンド)…服を自作するならスティックタイプもチューブタイプもそれぞれ欲しいです。

・手芸用鉗子…布をひっくり返したりワタを細部まで詰めたりするのに役立ちます。代替品がないので、これはあった方がいいです。

 

ぬいぐるみ用の布

切りっぱなしで使えるトイクロスがおすすめです。ナイレックスもトイクロスと似た生地みたいですね。プライズ用ぬいぐるみみたいなザラっとしたしっかりめの生地なので扱いやすいです。

わたしは間違えてソフトボアを買いました。ものすごく肌触りが良くてすべすべですが、毛足が長く(=毛の流れを考慮する必要がある)、切ると端から繊維がぼろぼろ落ちます。伸縮性があってテロっとしているので、切るにしろ縫うにしろ動きやすくて扱うのに結構苦労しました。

最後のほうで、ソフトボアは薄手の接着芯をつけると作業しやすくなることに気付きました。

今回の自作ぬいは肌はソフトボア・髪と下半身はトイクロスを使用しましたが、異素材の組み合わせは難易度が上がるのでやめたほうがいいと思います…最後に地獄を見た。初心者からの言葉です。

 

参考にした作り方動画と型紙

ぬい本体の作り方と型紙

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トップスの作り方と型紙

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ズボンの作り方と型紙

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靴の作り方と型紙

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型紙のアレンジと設計図

まろまゆさんの型紙には15センチサイズと11センチサイズがあり、どちらで作るか悩みました。

細かい作業が多くなることは想像がつくので大きいサイズの方で作る気でしたが、最終的にはジャンヌちゃんとシャルルおじさんを一緒に連れて歩きたいという夢があったため、15センチサイズ×2ってだいぶでかいぞ?!と迷いが生じ、11センチサイズを試作してみました。

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無理だな、と思ったので15センチサイズで作ることにしました。

ジャンヌちゃんの服装は白のブラウスに紫のベスト、黒の膝丈パンツにグレーのタイツ・黒の靴のコーデを作りたかったので簡単な設計図を描きました。

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この時点で服の作り方がわからなかったので、この後作り方や型紙を探しています。

にーびさんの型紙で再現ができそうだと思ったのですが、適合サイズがツイステEXぬい。まろまゆさんのぬい本体(15センチ)の型紙と身長は同じですが見た感じ腕が結構違う気がしたのでフリーハンドで型紙をアレンジして、腕を細く長く変更しました。

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型紙を切って布を断ち縫う

型紙があるものに関しては、型紙を切って両面テープを貼り布にくっつけて布を切り出し、布の裏面に出来上がり線を描いてその通りに縫い合わせていくことの繰り返しです。無心で出来るし形になっていくので楽しいです。

ミシンは無いのですべて手縫いしました。(ズボンは縫わずに接着剤で作りました。)服以外は強いテンションかけて縫いました。ワタをぎゅうぎゅうに詰めたとき縫合が甘いと縫い目の糸が表から見えてしまいます(強いテンションをかけすぎて後ほど失敗しています)。

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ぬいの体ができました。

服と靴も作っていきます。

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できました。(とは言え道中いろいろ失敗しています。)

フリーハンドで型紙を調整した腕はなんとか服に入りました!トップスを作りながらぬい本体に当ててサイズ感を見たのですが、全くゆとりがないと思ったので袖は布端ギリギリを縫ってなんとか入っています。逆に身幅はすこし余ったので、マジックテープをつける位置でサイズを調整しました。裾は型紙より短くしています。ズボンも目算で丈を詰めました。

靴は足首まわり5センチの型紙の方でピッタリでした。(ワタの詰め方によっては靴がゆるいかもしれません。)

 

難関その1、ぬいの顔

顔は刺繍することに決めていたので、とにかく色んなぬいの顔をみて刺繍できるデザインを前提に顔を描いてみます。

こんな感じ。

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ついでに刺繍の練習もしておきます。

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こちらの図案は鉛筆タイプのチャコペンで下絵を描いたものです。線がよく見えず針を刺す位置がガタガタになりました。これは2本取りでの刺繍ですが、細部を再現できるだけのスキルが見合っていないので3本取りが妥当だと判断しました。

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こちらの図案は0.5のサインペンで下絵を描いてみました。細くハッキリした線なら正確に針を刺していけそうです。こちらは3本取りでの刺繍です。下まつげだけは2本取りでもいいかなと思いました。

本番用の布(ソフトボア)が届いたところで、かねてよりの懸念事項が喫緊の課題として浮上。それは刺繍の下絵をどうやって布に写すか、です。調べたところ、アイロンプリントシートにインクジェットプリンターで図案を印刷して貼り付けるというのがオーソドックスなやり方のようでした。しかし自宅にプリンターがありません。コンビニのコピー機レーザープリンターですしそもそも持ち込み用紙の手差しはコピー機の故障になり得るので選べませんでした。

チャコエースⅡ(紫)で直接布に描いてしまおうかと思いましたが、ソフトボアの表面は毛足が長く細かな図案を描き込もうとしても線が太くなってしまいます。裏面に図案を描いて刺繍してみたりもしましたが、難易度が高くて上手く出来ませんでした。

ピーシングペーパー代わりにクッキングシートに図案を描いて布に固定して刺繍する方法も試しましたが、細かい図案だと針を入れるに従ってシートに穴が空いていきやがて破れました…。

これでだめだともう方法が思いつかないぞと思いながら、水に溶けるシールタイプのシートを購入(こういうものです)。

さっそく図案をなぞり書きしましたが、先に失敗2例を。ひとつはチャコエースⅡ(紫)を使ったとき。シートの目が粗くインクが滲んでしまい、その状態から刺繍するとやはり針の目がガタガタになってしまいました。次は水性ペン、自宅にあった水性ペンで図案をなぞり書きし刺繍しましたが、水でシートを溶かしたときに水性ペンのインクが布について汚れてしまいました。しっかり落ちる水性ペンを探すことも考えましたが、白の刺繍糸を使うので、落ちたインクが刺繍糸に色移りする可能性を考えて諦めました。

結局使ったのは2Bの鉛筆でした。(使う布・図案・サイズ・お手持ちの機器や環境によって最適解は異なると思いますが、やり方は色々あります!)

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できた。(刺繍の出来には納得いかなかったので刺し直そうかと思いましたが、創作の鉄則「完成させろ」に従いこのまま進めます。)

わたしは刺繍してから型紙を当て直して布を切りました。そのあと裏面に薄手の接着芯を貼りました(刺繍の裏を保護するためと、縫いやすくするため)。

顔パーツ完成。

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耳のつけ方

まろまゆさんの作り方動画では「耳もつけましょう。型紙には載せていませんが」の次のカットで耳がついていたので「?!?!??」となりました。一時停止して画面を凝視するなどして観察しましたがよくわからなかったので適当にやりました。手順を載せておきます。

①半月状の左右対称のパーツを切り出す(縫い合わせる布の片側だけに厚手の接着芯を貼ってみました。たぶんやらなくてもいいです。)

②中表にして顔にくっつかない側を縫い合わせてひっくり返す

③顔にくっつく側(=縫い合わせていない辺)を首(?)のパーツに縫い付けておく

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④この状態で顔パーツと縫い合わせる

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完成は近いかもしれない!テンションが上がって、出来上がってもいないのにぬいスタンドを買いました。

 

難関その2、髪

まろまゆさんの型紙だけでは髪型ができないので、髪の型紙は自作になります。

顔の型紙に髪型のイメージを書きます(この時点でパーツを分ける必要があればそれを考慮しておきます)。

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イメージする髪型に合わせた型紙通りに布を切って実物で調整していきます。

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エ!なんかちょっとイメージが違う…髪型じゃなくて髪色が…ブラウン系をもう一色用意していたので、どちらがジャンヌちゃんぽいか並べてみます。

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見れば見るほど迷う。己の持つジャンヌちゃんの概念に揺らぎを感じて動揺してしまいました。(ツイッターでアンケートにお答えくださった方々その節はお世話になりました。)

ダークブラウンの髪色で作り直すことを決めて髪の型紙作り再開。

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エ!なんか違う…前髪がなんかイメージと違う…。

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まだちょっと違うなぁ、髪の分け目をもう少しきっちり出したい…。

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これを繰り返します。

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①後頭部のパーツ(まろまゆさんの型紙)

②後ろ髪パーツ(①と縫い合わせる)

③頭頂部のパーツ(まろまゆさんの型紙)

④前髪の土台のパーツ

⑤前髪のパーツ(④に貼り付けるつもり)

いよいよ縫っていきます。

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この状態で仮留めしてみます。

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いやいやいやいや、誰?(髪のパーツにダーツを入れる必要性に思い至らなかった結果です。)

ここから後ろ髪を取り直してもう一回後頭部パーツを作成し直し顔パーツと中表で縫い付けるところまで行きましたが、裏返してみたら衝撃の出来上がりだったのでなんとかリカバリしようと迷走をはじめます。動揺していたので途中経過の画像がありません。(写真に残せないくらい大変なことになっていた。)

最終的に、髪の型紙⑤のパーツは④に縫い付け、その上から部分パーツを足して布用ボンドで貼り付けました。後ろ髪の襟足は縫い付けた状態のまま長すぎる部分をカットしました。

これらは使わなかった髪のパーツ(試作も含む)の一部です。

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髪の作り方の正解は結局わかりませんでした…。

ちなみに、円柱状に縫い付けた顔パーツと後頭部パーツを縫い合わせたとき、円周の長さが1センチくらい(!)合いませんでした。おそらく、伸縮性のあるソフトボアと伸縮性のないトイクロスとで同じ力で糸を引いても生地の張り方が違うのでこの結果になったのだと思います。あと単純に中心線がズレてました。

 

もうすぐ出来上がり

頭と胴体部分のドッキングは何とかなったんですが、糸の留め方の正解がわかりませんでした。かなりきつく糸を引かないと頭がグラグラしてしまうのですが、その状態で玉留めできなくないですか?!ワタの上で安定しないからどうしても玉留めが緩くなってしまうと思うのですが。

わたしは胴体の平坦なところまで糸をくぐらせて針を刺し直し、そこで玉留めして固定しました。(大事な体をごめんねジャンヌちゃん…)

 

付属品を作る

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100均で売っていたデコパーツを分解して切ったり折ったり貼ったりしてボウタイにしました。細いリボンを隙間に通して背中でちょうちょ結びをして固定します。(結びやすくするためにリボンはかなり長くしましたが、服で隠れるので問題ないです。)

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バーレンベルク家の紋章のペンダント(紋章は省略)。一番細いボールチェーンとチャームを買ってきて組み合わせただけです。

 

完成!

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(この写真は自立してません。後頭部が壁にくっついてて立ってるだけです。)

 

みんなに勇気を与える失敗の数々

ツイッターで「自作ぬい」等と検索すると、できた!って投稿されているぬいの完成度が高くて、いやそんな、できた!って?!と困惑しながら作っていたので、初心者がつくるのはこの程度のクオリティですよという失敗の数々をご紹介したいと思います。

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腕の長さが違う。太さも違う。

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縫い目がものすごく出ている。

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刺繍が下手(まゆげにハゲがある)。

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頭が傾いてついてる(右向きだし、上向き)。

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肉まんを包んでいるかのようなディテール。

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縫い付けたまま切ったのでつけたかった曲線が再現できなかった襟足。

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雑なドッキング。

 

それでもかわいい。(※先行画像のポストカード)

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みんなもぬいを作ろう!

 

2021.10.31更新



 

ピガール狂騒曲「愛のデュエットを踊るのに、そんな条件でやれってほうがどだい無理なのよ」

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『ピガール狂騒曲』のあらすじ

ジャック・ヴァレットと名乗る青年(珠城りょう)は、街のならず者たちから逃れるために男装したジャンヌという名の女であった。素性を隠し、職を求めてムーラン・ルージュの扉を叩く。支配人であるシャルル(月城かなと)はガブリエルの出演交渉を命じ、その役目が果たせたならジャックを秘書として雇うことを約束する。ジャックに一目惚れしたガブリエル(美園さくら)は、出演条件としてジャックをダンスの相手役として指名する。身を隠しているジャックは裏方志望であり一度はガブリエルの申し出を断るも、シャルルの懇願により、「この手以外には触れさせないこと」「体には触らないでほしい」を条件に出演を承諾する。

こうして、ダンス経験皆無のジャックとガブリエルは、次回作の目玉であるデュエットダンスに、困難な条件のもと挑戦を続けるが……。

 

と、まぁそういう事情でダンスの稽古をつけはじめますが当然上手くはいきません。シャルルの通称「お願いソング」の場面でも、シャルルや振付師であるミシェルがその不可能性について言及しています。

シャルル「ジャック、お前も聞いてただろ。情熱的なデュエットを踊るんだぞ。体に触れずになんてそんな――」

ミシェル「無理よ。ねえ」

ジャックとガブリエルの練習風景では、ジャックの条件以外のさまざまな「無理」も、しっかりと可視化されます。*1

上手くいかない理由その一、まずは二人にダンスの素養がないこと。ズブの素人が踊れるようになるだけでも大変なのに、素人同士で組んで踊れるようになることがゴールなんて果てしなく遠すぎる!

理由そのニ、やる気がない(主にジャックの)。この練習の時点では、ジャックは上達することに関してあまり興味を持てないでいるようです。同時に、自分が女であるという秘密がバレるのではないかということに気をとられて、それどころでは無いとも言えます。

そして理由その三、実は女同士であること。振付師であるミシェルはもちろん、ガブリエルも当然、男と女でデュエットダンスをするものだと思っています。しかしご存知の通りジャックは女性なので、体格も筋力もさほど変わらないためか、ガブリエルが尻もちをついてしまうと一緒に倒れこみそうになってしまうし、リフトをしても支えきれずに自分もバランスを崩してしまいます。ここのジャンヌちゃんが、とってもヨタヨタして簡単にフラついてしまっていて「仕方ないよねぇ〜女の子だもんね!」と思ってしまうのですが、そこでふと思い出しました。

 

珠城りょうさんも女性じゃない!?

高くて安定感のあるリフトに定評のある珠城りょうさんですが、この人も、そういえば(?)女性……。普段「女の人なのに」なんて全く頭に過らない男役姿を披露しながら、本作のジャックでは、普通の女の子が男の振る舞いをすることの困難をコミカルに演じているのです。宝塚、ちょう面白い!

ジャックとガブリエルの上手くいかないデュエットダンスの練習を微笑ましく思って見る一方、現実の珠城さんとさくらちゃんのデュエットダンスが当たり前に美しいことに思いを馳せてしまいました。

お二人とも、ダンス(バレエ)を習い始めた頃はもちろん初心者で、その上達の過程には夢と情熱があったのだろうし、女同士で組んで踊るというのは、テクニックはもちろん、二人で重ねる鍛錬やお互いを信頼することでしか成立し得ないのだろうなと想像します。

ジャックとガブリエルの立ち向かう困難を、さも何も珍しいことはありませんよという風に見せている「宝塚のデュエットダンス」、すごいなぁ……。と思うと同時に、宝塚という文化そのものへの愛のある眼差しが作品の外側から感じられました。

余談ですがどうしても言及したいのが、この二人の練習の場面での台詞。

ガブリエル「私思うの。純粋で、ひたむきで、情熱さえあれば、たとえ不格好でも大きな感動を生むことが出来るって。そう、大切なのは心なのよ!」

本作は、106期生の初舞台公演でもありました。このガブリエルの台詞は、その初舞台生たちへも贈られているように思えて、涙ぐんでしまうときもありました。

この作品自体が、エンターテインメントに救われエンターテインメントに生きる人々とその場所とを軽やかな筆致で肯定的に描いているので、2020年に迎えた困難の中で、より明るい希望となって道標のように見えた気がしています。

 

さて、新作ショー『ラ・ヴィ・パリジェンヌ』の初日、ジャックとガブリエルのデュエットダンスはおおよそ成功したと言えるものの、様々なトラブルが重なり、公演自体は大失敗に終わります。

翌日ガブリエルは自分の行動を詫びるためにムーラン・ルージュを訪れます。皆に謝るガブリエルに、ミシェルが言います。

ミシェル「”体に触れてはいけない”――愛のデュエットを踊るのに、そんな条件でやれってほうがどだい無理なのよ。あなたがジャックにキスしようとしたのは、当然の感情の高ぶりです。むしろ私は、最初からああさせたかったの(後略)」

 

 

S25『メ・マン(私の手)』の調べに乗せて、紳士Sと淑女Sによるロマンティックなデュエット・ダンス

フィナーレでのデュエットダンス、リフトもなく二人が触れ合って踊る場面も少なく、「ソーシャル・ディスタンス対応?」という感想も多く見たのですが、わたしは感染症防止観点からではなく、最初からそのように意図された振付だと思っています。

使われている『メ・マン』、公演で使用された歌詞はこちらで紹介されているものと同じですね。別の訳詞を紹介してくださっている方もいらっしゃいました(朝倉ノニーの<歌物語> | 僕の手Mes mains)。歌詞だけだと、別れた(出て行った)女を想う男の、ロマンティックというよりはもっと切実な内面をそのまま吐露したようなリアリティを持っていると感じます。でもこのデュエットダンスでは、愛する女を喪った男が彼女の幻影を追いかけている、という風に見えていました。

いずれにしても『メ・マン』が選ばれた限り、その歌詞内容の世界では「男の元に女はいない」ので、二人の間に距離のある振付になることは必然かと思います。

そしてなぜ『メ・マン』がデュエットダンスに選ばれたのかというと、二人の間に距離がある振付になる必然があったからじゃないかと思っています。

つまり、作中で無理と断じられた「”体に触れてはいけない”愛のデュエットダンス」が、宝塚でなら表現できることの証明をしてみせたのではないかな、原田先生の遊び心というか愛というか、そういうものが詰まっているんじゃないかなと考えています。

女性同士であっても、キスなんてしなくても、体に触れなくても、情熱的な愛のデュエットダンスは”出来る”。今、目の前で見ているものがそれ。

説明しようとするとこの記事みたいに冗長になってしまうのだけど、見ればわかる、ということを信じてこの美しいデュエットダンスを出して来たところが、やっぱり、この場所を作るクリエイティブスタッフと観客との双方への信頼を感じちゃうな~と思います。

なお、正確には2回ほど、珠城さんがさくらちゃんの腰を支える振りがあります。1回目のときにさくらちゃんが背を反らす振りなんですが、好奇心から途中で一時停止して見たところ、さくらちゃんの頭頂部が珠城さんの膝くらいの位置で床に垂直の状態でした(!)。こんなことをプロの演者に言うのはかえって失礼かもしれませんが、身を委ねる信頼とそれに応える信頼というものがこんなに如実に見えるものかと思いました。

この記事を読んでもう一度デュエットダンスを見ていただけたら嬉しいです!

男が常に切羽詰まったような苦し気な表情で、女は常に優し気な微笑みを湛えているのがね……いいんですよ。男の想いだけがそこにいる女を見せているんだけど、決して想いは届かないので……。ハードな男役群舞からのデュエットダンスで、物理的に珠城さんの”男”が息が上がって汗をかいているのもエロティックだなぁと思っていて、原田先生を拝んでしまう……!

 

では、そろそろ記事を閉じて、デュエットダンスをご覧ください。

 

追記

 

 

 

*1:この場面、ムラ序盤ではリフトは何とか出来てクルッと回れはするけどそれでバランスを崩して…という感じで実は結構"出来てた"(笑)のですが、回を重ねるごとにどんどん下手になっていって最終的にはガブリエルの身体がまずほとんど浮かないというところまで出来なさが進化したのも面白かったです。(そういえば、ボリスの踊りの素人感を出すために、風間柚乃さんは初心者の「踊ってみた」動画などを参考にされたそうです。)

サヨナラショーが映す心象~珠城りょうサヨナラショーに寄せて~

サヨナラショー

トップスターの退団にあたって、その最後の宝塚大劇場公演と東京宝塚劇場公演の千秋楽(とその前日)には、そのスターの思い出の名場面などを綴る「サヨナラショー」が追加上演される。始まったのは1963年の明石照子から。近年は、千秋楽に退団者が紋付袴姿でお客様にお別れのあいさつをするのが恒例となった。

kageki.hankyu.co.jp

 

宝塚歌劇を観に行くだけでなく、出演者に関心を持ったり過去の公演を映像で見たり興味を持って文化を調べたり…というようなことをするようになって3年程が経ちました。

今回、その3年程大好きでいた珠城りょうさんのサヨナラショーを観て初めて、サヨナラショーが何なのかを理解することができたように思います。

 

愛希れいかさんのサヨナラショー

わたしが初めて見たサヨナラショーは愛希れいかさんのものです。

所謂ビギナーズラックだったのでしょうが、劇場で拝見することができました。チケットぴあのゴールドステージ以上でもらえる当選確率UP券を使って宝塚大劇場の千秋楽公演に申込したところ当選しました。当日、劇場改札ではみなピンクのチケット*1を手にピロン!ピロン!*2と入場しているのを見て、自分の手の中にある緑色のチケット*3で入場できるのかと不安になったことを鮮明に覚えています。

過去のブログ記事にも書いていますが、このときは本当に好きと勢いだけある初心者だったので『この愛よ永遠に-TAKARAZUKA FOREVER-』すら歌うことができませんでした。(歌える必要はないんですけど……基本、ヅカオタは歌えますよね……)

愛希れいかさんのサヨナラショーは、美しく、会場いっぱいに彼女への愛が満ちているようで、その神聖な雰囲気は初めて感じるものでした。

一方で、サヨナラショーというものをそれまで全く見たことがなかったわたしは色々と面食らいます。ショーというから、2本立てのときのショーのようなものだと思っていたんですが、個人にフォーカスするぶんショーというよりかはリサイタルみたいですよね。基本的には一曲歌って音楽が鳴りやみ、また音楽が始まって一曲歌うという構成になるので、ぶつ切り感があるなと思っていました。舞台上にそのひと一人しかいない時間も長いので、「宝塚のショー」をイメージしてしまうとすごくシンプルに感じられました。そして一番は、歌っている曲が1/3くらいわからなかったこと、1/3は知ってはいるけどなぜ選曲したのかがわからなかったこと。つまり、わたしは彼女のことをあまりにも知らないのだと思ったのでした。

彼女がここで見せているものをわたしは受け止め切れていない、そう感じて、自分の不甲斐無さがちょっと悔しかったです。

 

サヨナラショーって何だろう

 ところでサヨナラショーって何だろう。定義は、用語解説を読んだからわかったのだけれど、そうでなく、どういう意味を持っているものなんだろうか。それは、大好きだと思っていたちゃぴちゃん*4のサヨナラショーが消化不良のままになったその後からぼんやり考えていたことでした。

2021年の現在、宝塚大劇場東京宝塚劇場の千秋楽はライブビューイング・ライブ配信が実施されることが恒例となっています。特にライブ配信は、時間さえ都合がつけば自宅で見ることができるので「宝塚を一度は見てみようかな」という層も気軽にアクセスできる手段です。なので、「宝塚を一度は見てみようかな」という人がたまたま見た公演がたまたまサヨナラ公演でたまたまサヨナラショーを見ることもあり得ます。

しかし、ライブビューイングにしてもライブ配信にしても、始まったのは近年です。それ以前の長い間は、その最後の一日(またはその前公演を含む最後の2回)に劇場に足を運んだ2千名だけが観ることのできた特別なショーだったのでしょう。

もちろん、そのような特別な日には思い入れたっぷりの観客が押し寄せたはずで、きっとそもそもはそういう人たちに向けて届けられたショーなのだと思います。(特別なショーが付属しているにも関わらず票券価格が同じなのも、そういう成り立ちからではないかなぁと思いました。サヨナラショーは付加価値という性質のものではなく、並々ならぬ思い入れのファンに向けた舞台人からの感謝の形では、と)

それから、そもそも「宝塚のショー」って、という部分にも言及したいと思います。ショーというものは、宝塚歌劇で披露されているものに限らず、歌や踊りや衣装やその肉体や、あるいは照明や音楽や、とにかく眼前にあるもので楽しませてくれるものです。だから何も知らなくても、演者の美しさや芸やあるいは舞台そのものから発せられる煌めきや生命力やとにかくその場で発生しているものを楽しむことができます。

さらに宝塚歌劇では確固たるスターシステムの上「その演者がやる意味」をいかに付与するかという部分も肝要だと思います。スターの得意な分野で遺憾なくその能力が発揮できているか、だとか、はたまた意外性のあるものが見せられるか、とか、スターの経歴やエピソードやそういったものを盛り込んだりもしますよね。歌い継ぎでスターさんの名前が1フレーズごとに盛り込まれているお馴染みの手法も、初めてそれに気付いたときは「すごい!」ってとても興奮しました。

「宝塚のショー」は、眼前で披露されているものをそのまま受け取って楽しめるエンターテインメントであると同時に、出演するスターのバックグラウンドを重ねることでより解像度の上がる仕組みです。サヨナラショーは、その後者の機能を極限まで特化しているものなのかなと思いました。大がかりな装置や派手な装飾のない舞台で、ただ歌い踊る。その歌や音楽の向こう側に、ファンは思い思いに、舞台に乗っかりきらないその背景をも観ている。

珠城りょうさんのサヨナラショーを見て、そのように思いました。

 

珠城りょうサヨナラショー

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M1アーサー王賛歌『アーサー王伝説

…… ♪キーングアーサー♪キーングアーサー♪

アーサー王だ!?)幕開き1曲目に驚きを隠せぬまま、大階段の真ん中に一人立つ珠城りょうさんにピンスポットが当たる。

影ナレ(マーリン)「今こそ、アーサー・ペンドラゴンは本当の王になられた。愛と寛容の精神を持ってこの国を導かれるだろう!」

もう泣いた。そして何と!わたしは珠城りょうさん主演作の中で『アーサー王伝説』だけ見ていません!なぜか。あまりにつらくて手が出せなかったからです。

アーサー王伝説』はトッププレお披露目*5の演目であり海外ミュージカル作品ですが、「アーサー王賛歌」は宝塚で上演にあたり書き下ろされた楽曲です。つまり珠城さんに当てて書かれたものですね。

恐れられる王でなく愛される王に

そして民を愛する慈悲深き君主に

神が決めた定めなら己の孤独を封印し

民のためこの国のため私は生きよう

それが定め 道は一つ

 見てはいないですが「アーサー王賛歌」は知っています。なぜなら感想はたくさん読んだからです。そもそも『アーサー王伝説』のあらすじがまあなんと言うかつらい。感想読む限りでもつらい。しかもこの演目がプレお披露目だと思うとつらいし、「アーサー王賛歌」が研9でトップに就任したばかりだった珠城さんに当てて書かれているのもつらい。これを歌わねばならないのもつらい。というわけで見ていなかった。

いやわかっていますよ!?これは石田先生の愛情だということも、歌詞に書かれているように「こう生きるしかない」とも言える王の姿とは、これは珠城さんがどうこうという話ではなくて、トップスターという立場に求められる性質のものであるということも。それでも、それを宣言させてしまうのか……という重さに足が竦むような感覚で、どうしても見る気になれなかったのでした。

そして冒頭に戻りますが、サヨナラショーの幕開きで泣いたのは、わたしがずっと抱いていたこれらの感傷があまりにも的外れだったからです。彼女はそんな感傷の中には勿論いませんでした。この「アーサー王賛歌」をサヨナラショー1曲目で歌いその宣言を実行したことを彼女は見せたのでした。というより、それを見せるのだ、という意思の方にやられてしまいました。マーリンの台詞が入ったのは珠城さんの希望ということなので、マーリンの台詞に今の自分自身と月組の存在を持って応えたかったのではないでしょうか。

退団発表記者会見の珠城さんは「私は孤独を感じたことはなかった」と言いました。「アーサー王賛歌」の中でそこだけは現実にしなかった、したくないという意思もあったのかもしれません。(もちろん、彼女の周囲の人々が彼女を独りにしなかったということが一番大きいと思いますが)

サヨナラショーでは珠城さんの伏線自力回収力に驚かされてばかりだったのですが、これがその最初です。

 

M2カンパニー『カンパニー ―努力、情熱、そして仲間たち―』

君に出会えただけで幸せだった

この歌い出しは、珠城りょう演じる青柳誠ニが亡き妻ともみを想って歌うフレーズです。これを聴くと(わたしはともみだったのか……)と夢女になってしまうのでした。

そしてサヨナラショーの文脈で歌われるこのフレーズはファンに向けて届けられているとも思いました。また同時に、全く同じことをファンが珠城さんに向けて思うであろうことも。

記憶の中のキミがいつの日にか

とても素晴らしい思い出となり

僕の心照らすよ

『カンパニー』の中のともみさんの存在を考えると、それを逆照射して珠城さんを見るとき、やはりちょっと切ない感じがします。この別れもいつか暖かいだけの思い出に変わっていくのかなぁと思います。でも過去に囚われているわけじゃなくて忘れるわけじゃなくて、この先を生きていく間、何かのときに励ましてくれるような存在が、青柳さんにとってのともみさんではないでしょうか?

 

M3Roses at the station『グランドホテル』

サヨナラショーで殺された人いる?

『グランドホテル』は映像でしか見たことがありません。珠城さんの出演作の中では、劇場で観られなかったことを後悔している作品ブッチギリの第一位です。わたしはサヨナラショーで初めて、男爵が劇場にいるところを観ました。

「Roses at the station」は、劇中と同じく赤い薔薇の花束を抱えて男爵が歌います。

「Roses at the station」から死のボレロは特に好きな場面でBDで何度も見ていましたが、あの赤い薔薇の意味に気付いたのはこのときでした。赤い薔薇の花束は、エリザヴェッタ・グルーシンスカヤと駅で再会するときにそれを持って現れると男爵が約束したもので、それは男爵のありったけの愛そのものだったはずです。それが、凶弾に倒れた男爵の胸で赤く咲いていて今度は血のメタファーとしてそこにある。この愛と死の表裏を初めて感じることができました。(サヨナラショーでは披露されていませんが、劇中でこの後続く死のボレロも愛と死が同じ顔をして男爵のもとにやって来るのが好きです)

劇場では見られなかった『グランドホテル 』から、サヨナラショーをきっかけに新しいものが得られたことをとても嬉しく思っています。

 

M5ブロンド『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』
M8ラ・ベル・エポック・ド・パリ『ピガール狂騒曲』

美園さくらさんのソロ曲と、彼女を軸にして暁千星さん(ありちゃん)・風間柚乃さん(おだちん)の3人で歌う曲、この曲を持つ二作は、それぞれ「女性/女の子が主人公の主体的な選択のお話」だったと思っています。だからそこから、さくらちゃんを真ん中にした場面が作られたのはすごく合っていると思いました。

IAFAのメインテーマ、本公演をやっていた頃よりずっと表現力が豊かになっていて全然聴こえ方が違って驚きました。そしてエマをイメージしたとってもとっても素敵なお衣装!(こちらも薄井香菜先生でしょうか?)エレガントなんですけどキュートでもあるんですよね、これはさくらちゃん自身の魅力でもあったと思います。

「ラ・ベル・エポック・ド・パリ」は、さくらちゃんと関わりの深い二人も登場しますが、特にありちゃんは、さくらちゃんにとっては王子様みたいな人だったのかなぁと思います。ありちゃんがさくらちゃんを見る時の目が爽やかだけど熱っぽくて良かったな。

 

M7同じ星空の下で『夢現無双―吉川英治原作「宮本武蔵」より―』

『夢現無双』『クルンテープ』……わたしにとっては「楽しかった!」と一言で振り返るにはあまりにもいろんなことを感じた公演でした。(でも当時のツイッターのログを読み返したら十分楽しそうではありました。ブランコで登場する全身白のパツンパツンのお衣装のサンバロット様がものすごく好きでした!登場が一瞬なんだけど。)

ひとつは、この公演で美弥るりかさんが退団されること。

これを書いている2021年では、2番手での退団あるいは退団発表が続いています。花組の瀬戸かずやさん、星組の愛月ひかるさん、2番手での退団例はそのお二人の前が2019年の美弥るりかさんでした。しかし、美弥るりかさんの更に前例となると、雪組彩吹真央さんで2010年のことだったようです。

それはおよそ10年ぶりのことであり、月組集合日の退団者のお知らせから東京千秋楽のその日まで、ファン界隈は非常に動揺していたように思います。そしてその動揺はわたしにも強いインパクトとして届いていました。

クルンテープ』では宝塚での初日が開けてすぐの頃に「cha cha SING」が「セ・マニフィーク」に差し替えになったり、オレンジの僧衣が緑色のものに変更になったり、美弥さんのソロ銀橋の曲が変更になったりとなんだかバタバタしているのかな?という印象でした。

東京公演に入ってすぐ、月城かなとさん(れいこさん)が怪我で全日程休演となります。『夢現無双』の代役には風間柚乃さんが入り、『クルンテープ』では場面ごとに代役が割り振られました。当時すでに3番手だったれいこさんの出番は多く、影響は大きかっただろうと思います。

そして東京公演中盤で、デュエットダンス中のリフトがなくなった期間がありました。また、同時期に『夢現無双』では、武蔵が吊られた木から落ちるシーンが暗転に変更になっており、珠城さんも故障があったのだろうと思われました。

なんとなく落ち着かない気持ちで 、それでも一番気がかりだったのは、この公演が珠城りょう・美園さくらの新トップコンビお披露目公演だったことでした。

もちろん、トップコンビお披露目らしく、『クルンテープ』では結婚式のシーンあり、恋物語のように初々しくうっとりするようなお芝居仕立てのデュエットダンスがあったりは!したんですけど!!『夢現無双』のお通、武蔵が変人だった*6せいで、ろくに二人きりの場面もなくパワフルおっかけガールとして終わってしまったり、これは公演と全く関係がないですが、トップコンビお披露目というただひたすらにめでたいはずの時間を、ただひたすらにめでたい気持ちだけで過ごせなかったことがずっと心に引っ掛かっていました。

なので、『夢現無双』からの一曲を珠城さんとさくらちゃんのデュエットソングとして、また新しく振付したデュエットダンスを加えて見せてもらえたことが本当に嬉しかったです。

珠城・美園トップコンビ時代の作品がいくつかある中で、「二人で」歌って踊るのにこの作品を選んでくれたこと、今の二人の幸せな姿で記憶に残ることに胸がいっぱいになりました。

わたしは何やかや、さくらちゃんが幸せでいてくれているのだろうかと心配することも多かったのですが、振り返ってみると、どんなときでも幸せそうにしているさくらちゃんを見ることで救われた気持ちになることばっかりだったなぁと思います。

ところで次のM8へ行くときの、珠城さんがさくらちゃんを銀橋の方に押し出す力が強すぎて笑ってしまうのですが。宝塚千秋楽では珠城さんがさくらちゃんの鬘の髪を撫でたら袖の飾りが絡まってしまいさすがにやや焦りが見えたので(笑)、照れ隠しか何かだったんでしょうか。と思いきや東京でも力が強かったです。(謎)

 

M11クルンテープクルンテープ 天使の都』

順番が前後しますが、前項の続きでもあるのでこちらを。

クルンテープ」はれいこさんが軸となって退団者と一緒に登場する場面です。前述の通り、れいこさんは『夢現無双』『クルンテープ 』の東京公演を途中休演することになりましたが、実は最初はショーのみ休演で『夢現無双』は出演していた期間があったのです。ですから、休演期間として長かったのは『クルンテープ』の方でした。

もしかしたら、このあたりの経緯をご存知でない方は「何でれいこさんクルンテープ?」と思われたかもしれませんが、選曲意図は、彼女があの時の続きを終わらせられるように・今回限りでもう同じ舞台には立つことのない退団者と一緒にやり遂げられるように、だったのかなと思っています。

こうやって時代をひとつ「終わらせる」んだなぁとすごく思いました。

 

M9世界最強のコンビ『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』

「僕たちがタッグを組めば、シティハンターもシャーロックホームズも二流の捜査官だ!」

というのは、『幽霊刑事』をご覧になった方はご存知かと思いますが、上演台本そのままの台詞です。

大劇場サヨナラ公演の直前にバウホールで上演されていた作品なので、この直後に宙組シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』と雪組CITY HUNTER』の上演が控えている状況そのままサヨナラショーに使えたというわけです。結構ウケてて良かった。

ところでサヨナラショーで幽霊になってる人が爆誕しました。(3曲目で銃殺されていたのは前フリだった?!)(たぶん違います)

突然の小芝居、小気味良い軽妙な台詞の掛け合いで笑わせて空気もフワッと軽くなります。湿っぽくなりすぎない意図かと思いきや、単にちなたまセレクトなのではないか…と思うわたしでした。

『幽霊刑事』は原作では先輩後輩関係だったところを同期の二人とするアダプテーションがあります。珠城さんと鳳月杏さん(ちなつさん)の関係性はむしろ後輩先輩の関係なわけですが、この二人の「似ていて異質」「異質だけど似ている」みたいな、並べたときの化学反応は関係性が緊密であるほど面白いんだと思うんですよね。

 

M10花のうた『月雲の皇子』―衣通姫伝説より―

前奏が入り「穴穂、花がきれいだ」の一言がもう木梨軽皇子様の肉体から発せられた木梨軽皇子様の声で、それに応えるちなつさんももう穴穂で、つい数十秒前にふざけたやりとりをしていたところから場所も衣装も変わっていないのに、作品世界に強く引き込まれてしまいます。

『月雲の皇子』は、サヨナラ公演である『桜嵐記』も手がけた上田久美子先生の脚本・演出家デビュー作品であり珠城さんの初主演作で、珠城さんの宝塚人生の中でもとても大きな作品でもありますね。もしまだご覧になっていない方がいらしたら、是非ご覧ください!*7

「兄上、私は兄上を助けて、この美しい島を強い国にします!それが私の夢。必ず、お力になります!」

穴穂のこの言葉を受けて木梨が歌う「花のうた」、サヨナラショーでは当然この場面だけで終わるので、この木梨と穴穂は運命が分たれることのなかった二人なのかもしれないと感傷的になることくらいは許して欲しいのです。お力になります、という穴穂の言葉が真実になった世界に生きているのは、この世界のちなたまなのかもしれません。*8

 

M12この地上の何処かに『All for One』~ダルタニアンと太陽王

2号セリの真ん中板付きで登場の珠城さん(ダルタニアン)、セリは凸型で使われていました。この、両側に誰も乗っていないセリの真ん中にいる珠城さんを目にした時、両側のセリは宇月颯さん(アトス)と美弥るりかさん(アラミス)に用意されているんだなと直感的に思いました。

実は『All for One』に2号セリでダルタニアンを中心にアトス・アラミスで登場するシーンはありません。

ですが、三銃士ものであるこの作品は「まだ若いトップスターと仲間たち」という当時の月組の状況に合わせて描かれていたこと、また、ポルトス役は珠城さんより下級生の暁千星さんで現在も月組で活躍中のスターさんであることから、両隣の「今はいないけれど、かつてそこにいた」という風な空白に、上級生のお二人を特に想起したのかもしれません。

舞台上にはない風景を見ること、それこそがサヨナラショーの持つ特別さなのかなと思いました。

 

M13明日を信じて『All for One』~ダルタニアンと太陽王

続きまして同じく『All for One』から「明日を信じて」。

先日、東京宝塚劇場20周年記念の各組歴代トップスターの名曲を集めたBDの発売が発表されて、収録曲も既に公開されているのですが、そこに並ぶ作品は当然各トップスターさんの代表作でした。珠城さんは『All for One』、やはり代表作としてはこの作品なんだろうなと思いました。素晴らしい主演作をたくさん持っているのでファンとしては選び難いところですが、ダルタニアンの明るさ・素朴さ・清廉さ・真っすぐさ、それとフィジカルの強さ(笑)、この辺りが男役珠城りょうとしてのパブリックイメージのど真ん中なので選ばれるんだろうなあ、というのは納得します。

たとえこの世が闇に包まれていても

明日は太陽が昇り光浴びる

そう信じて人は生きる

陽の光は等しく当たる

こんな困難な世情で生きていると、歌い出しで否応なくハッとさせられてしまいます。この作品は現在の世情を反映して描かれたものではないけれど、普遍的でいい意味でありきたりで、でもそれを「今ここ」で届ける意味に胸を打たれます。

歌っている人は演技者なので、言葉がその人にとっての真実であれば、聴衆にもそのように届く、そんなシンプルなことで勇気づけられることがあるんだなぁと改めて感じました。

 

M14BADDY『BADDY―悪党は月からやって来る―』

前項で『All for One』が珠城りょうの代表作と言っておいて何ですが、最後は『BADDY』でしょう、そりゃそうでしょう。(あっBADDYだ!と気付いた瞬間の客席、たぶん3度くらい温度が上がりました)

「千秋楽ぅ?冗談じゃねえ!」*9

を合図にサングラスをかけたバッディが暴れます。みんな大好きBADDY!

「邪魔だ、どけ!」

縋りつく組子をひたすらに振り払い蹴飛ばす、先ほどまでの優等生らしからぬ珠城さん。爽快!いやーでも、みんな大好きなのをわかって最後に「BADDY」持って来るのはやっぱり優等生ですかね。

『BADDY』が大好き!と言っていた、上演当時は花組だったちなつさんがバッディの腕をとって自分に巻きつけてうっとりしてるのをペッて引き剥がすあり王子。なぜか光月るう組長は額の汗を拭いてくれようとしているし、夏月都副組長はバッディの頭なでなでしようといるし、その横でれいこポッキーはバッディに頭を押さえつけられてグリグリやられているし、右脚には海乃美月さんファニーが絡みついてるし、股の間からおだちんが這い出て来る。情報量が多すぎないか。

さくらスパイシーは何してるのかと思ったら、後ろの方で(行かないの?)ってやりとりに腕で大きくバッテンつくっていました。行かないらしい。

最後の1曲、ほぼサングラスをかけているので顔が見えないっていうのもわたし的にかなりツボです。

もう泣き笑い、というか、笑い、笑い、笑い。興奮が後を引きました。

まんまと思い通りなんだろうなと思いつつ、こんなにも晴れやかに面白おかしく終われるなんて思ってもみなくて、本当に「楽しかった!」の一言です。

 

 

これにて、わたしのサヨナラショーの思い出は終わりです。ファンの方の目のぶんだけ、サヨナラショーがあるんだと思います。

2021年に書く記事としては説明過多だとは思いますが、宝塚は意外と変化が激しく、当時共有していた情報や時代性なんかはあっという間に失われてしまうというのは、初心者でいろいろ見たり読んだりしているときに思ったことです。何年か後にここにたどり着いた誰かのためにも書きたいなと思いました。

サヨナラショーなので当然、退団公演である『桜嵐記』『Dream Chaser』からは楽曲がないので言及していませんが、まだご覧になっていなかったら超ラッキーなので観てください。よろしくお願いします。

 

 

 

 

*1:劇団直販分のチケット。生徒席含む

*2:劇団直販分のチケットは券面に印刷されているQRコードを端末で読み込んで入場する。読み込むとピロン!と音が鳴る

*3:ファミリーマートで発券したため緑色でした。プレイガイド販売分のチケットの入場方法は半券をモギる。

*4:愛希れいかさんの愛称

*5:トップスターのお披露目公演とは一般的に宝塚大劇場東京宝塚劇場での公演演目を指します。通常はトップスター就任後宝塚大劇場公演の前に主演作の公演が打たれますが、それをプレお披露目公演と呼びます。

*6:朴念仁!無自覚恋心ハンター!童貞!

*7:最下で出演している佳城葵さん(やすちゃん)演じるティコもすごい。演技は才能であることめちゃめちゃ感じてしまう

*8:これは「エモい」と言わずしてエモさを伝えようとしたあまりこのような表現になりました。

*9:各前楽では「天国ぅ?冗談じゃねえ!」